ヒグチアイ『悪魔の子』 歌詞の意味を徹底考察　進撃の巨人ED曲

『悪魔の子』作詞・作曲ヒグチアイが進撃の巨人The Final Season part2のED曲に決まりました。

リリース直後世界中から圧倒的な評価を得ており、現在(2022/02/10)Billboard JAPAN Heatseekers Songで1位を獲得し、YouTubeにアップされた「悪魔の子 Anime Special Ver. MV」は500万回以上再生されています。

間違いなく今季アニメで最も人気のある楽曲といえるでしょう。

悪魔の子は歌詞が本編と重なりすぎて作詞エレン・イェーガーなのでは？と話題です。

歌詞の意味を進撃の巨人本編と合わせて考察していきましょう！

本編のネタバレ注意です。

1.歌詞

鉄の弾が　正義の証明
貫けば　英雄に近づいた
その目を閉じて　触れてみれば
同じ形　同じ体温の悪魔

僕はダメで　あいつはいいの？
そこに壁があっただけなのに
生まれてしまった　運命嘆くな
僕らはみんな　自由なんだから

鳥のように　羽があれば
どこへだって行けるけど
帰る場所が　なければ
きっとどこへも行けない

ただただ生きるのは嫌だ

世界は残酷だ　それでも君を愛すよ
なにを犠牲にしても　それでも君を守るよ
間違いだとしても　疑ったりしない
正しさとは　自分のこと　強く信じることだ

鉄の雨が　降り散る情景
テレビの中　映画に見えたんだ
戦争なんて　愚かな凶暴
関係ない　知らない国の話
それならなんで　あいつ憎んで
黒い気持ち　隠しきれない理由
説明だって　できやしないんだ
僕らはなんて　矛盾ばっかなんだ

この言葉も　訳されれば
本当の意味は伝わらない
信じるのは　その目を開いて
触れた世界だけ

ただただ生きるのは嫌だ

世界は残酷だ　それでも君を愛すよ
なにを犠牲にしても　それでも君を守るよ
選んだ人の影　捨てたものの屍
気づいたんだ　自分の中　育つのは悪魔の子 正義の裏　犠牲の中　心には悪魔の子

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

2.Aメロ (1番～)

鉄の弾が～同じ体温の悪魔

鉄の弾が　正義の証明

貫けば　英雄に近づいた

その目を閉じて　触れてみれば

同じ形　同じ体温の悪魔

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

戦争では敵を銃で殺めれば地位が上がり、その数が多ければ多いほど自国への正義や忠誠心を示すことができるのです。

地位を高めるため、あるいは愛するモノを守るために悪魔へとなりきます。

しかし蓋を開けてみると戦っている相手は皆同じ人間なのです。

どちらかが正義を掲げれば、もう一方も正義を貫き戦わなければなりません。

3.Bメロ

僕はダメで～自由なんだから

僕はダメで　あいつはいいの？

そこに壁があっただけなのに

生まれてしまった　運命嘆くな

僕らはみんな　自由なんだから

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

ここでの「壁」は、「人と人を隔てる壁」「言語の壁」といった比喩的な意味がありますが、パラディ島を囲う壁のことも指しているためエルディア人の視点であることがわかります！

歪んだ歴史のせいで差別が蔓延る世界に苦悩している様子がみてとれます。

人間は本来、なんのしがらみもなく自由に生きる権利があるのです。

国家による人権の制約、血縁からの束縛、人種差別など、あなたがどのような不自由を被ることがあったとしても、自分が生まれたことを決して否定するなというメッセージにも聞こえます。人間は自由に生きていいのですから。

4.Cメロ

鳥のように～きっとどこへも行けない

鳥のように　羽があれば

どこへだって行けるけど

帰る場所が　なければ

きっとどこへも行けない

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

戦争によって故郷を失ってしまえばもう自由に壁の外へはいけません。

故郷を守るためには戦うことで外からの脅威を排除しなければなりません。

そのためにエレンは地鳴らしを発動しました。

ただただ生きるのは嫌だ

ただただ生きるのは嫌だ

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

この楽曲と本編を繋ぐ重要なキーフレーズです！

エレンは「壁の外に出たい」「壁の中で何も知らずに生きるのは嫌だ」という思いを幼少期から最期まで一貫しています。

その意思を掲げ調査兵団に入団し、壁の外へ赴くことができました。

調査兵団に入りたいと言った9歳のエレンが母親に止められた時の場面です。

出典：アプリ少年マガジン 進撃の巨人30巻107ページ

5.サビ

世界は残酷だ～強く信じることだ

世界は残酷だ　それでも君を愛すよ

なにを犠牲にしても　それでも君を守るよ

間違いだとしても　疑ったりしない

正しさとは　自分のこと　強く信じることだ

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

世界は残酷だというフレーズは本編内でもよく使われていますね。
作品に対するリスペクトを感じます！

どんな犠牲を払っても、たとえ倫理に反した間違った行いでも、愛する「君」を守るよと言っています。

「君」はミカサのことを指していると解釈できますね。

エレンは愛するミカサやエルディアの仲間たちを守るために地鳴らしを発動させました。

自分が悪になってまで正義を貫き仲間を守ったわけですね。

出典：アプリ少年マガジン 進撃の巨人34巻204ページ

6.Aメロ (2番～)

鉄の玉が～矛盾ばっかなんだ

鉄の雨が　降り散る情景

テレビの中　映画に見えたんだ

戦争なんて　愚かな凶暴

関係ない　知らない国の話

それならなんで　あいつ憎んで

黒い気持ち　隠しきれない理由

説明だって　できやしないんだ

僕らはなんて　矛盾ばっかなんだ

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

ここからが2番です。

他国の戦争をニュースで見て「かわいそう」「平和になればいいのに」と感じることがあっても、所詮は他人事で関心すら抱かない人が大半です。

Aを憎む理由を説明できない人は自分の意思で憎んだわけではありません。

なぜなら歴史や風潮、他人の意見に支配されているからです。

エレンは自分の意思で地鳴らしを発動させたつもりでしたが、実際は王位継承の際ヒストリアの手を握ったときから未来のエレンの行動に囚われていたことがわかります。

口では憎んでいるといっても自分の意思が介在していないため、戦っている理由もわからなくなっていきます。

ガビが歴史に囚われエルディアを憎しみ続けていたことと重なります。カヤに出会い、「何もしていない母がなぜ巨人に喰われたのか」という問いに固まってしまいます。

このあたりでガビはパラディ島を恨む理由が自身にないと薄々気づいたのでしょう。

出典：アプリ少年マガジン 進撃の巨人27巻139ページ

そういった人間の行動の矛盾を嘆いているように聞こえます。

7.Bメロ

この言葉も～触れた世界だけ

この言葉も　訳されれば

本当の意味は伝わらない

信じるのは　その目を開いて

触れた世界だけ

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

言葉というものは人を介せば形を変えるものです。伝言ゲームがまさにいい例でしょう。

百聞は一見に如かずということです。

8.ラスサビ

世界は残酷だ～心には悪魔の子

世界は残酷だ　それでも君を愛すよ

なにを犠牲にしても　それでも君を守るよ

選んだ人の影　捨てたものの屍

気づいたんだ　自分の中　育つのは悪魔の子 正義の裏　犠牲の中　心には悪魔の子

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/higuchi-ai/akuma-no-ko/

地鳴らしを発動し世界の8割の大地を平らにしたエレン。

自らの正義を全うし愛するものを守った結果、世界中から憎まれる悪魔となりました。

まさに悪魔の所業です。

費やした多くの犠牲の中に自分の母親がいるという事実もありエレンの心はとっくに壊れていたことでしょう。

9.まとめ

以上が考察になります。

お分かりの通りストレートな歌詞ですから、原作をよりイメージしやすいかと思います。

原作にあるフレーズを使ったり、主人公の心情を読み取ったような詞を使ったりなど原作への愛がひしひしと伝わってきます。

ヒグチアイさんの醸し出す悲壮感がより心を揺すります。

進撃の巨人と悪魔の子があまりにもマッチしていて涙なしには聴けません。

アニメの続きも楽しみです！

ヒグチアイさんの経歴やおすすめ楽曲をまとめた記事はこちらになります。